レースの現場でタイヤのエンジニアが何をしているかというと、まず小さいノートにラップタイムを書きます。14年間もやっていると、タイムを書くと、頭の中に自然にタイムの折れ線グラフが浮かぶようになります。コンペディジョンしているときは、味方と敵と両方のタイムの推移をよくみて、味方のタイムが落ちてきているのがわかると、チームにアドバイスをするのです。タイヤには、ある程度寿命がありますから、交換するタイミングは基本的に同じです。
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それにも拘わらず、ピットに早く入ったり、遅く入るというばらつきがあるのには大きな理由があります。それは運転の技量の違いです。多少タイヤが傷んでも、同じぐらいのスピードを維持して走れる上手なドライバーと、少しでもバランスが悪くなると、急にタイムが悪くなるドライバーがいます。上手な人、つまり運転の幅の広い人は、たとえば少しオーバーステアになってきても、それをカバーするような運転をし、後ろのタイヤを労りながら走れるような技量を持っています。ところが、下手な人は、後ろにズルッとくると怖いので、もうダメだと言ってピットインしてしまう。その2〜3周の違いで、ピットイン後、どのポジションに来るかが、大きく変化してきます。タイヤがある程度タレてきても、カバーして維持できる技量のあるドライバーなら、作戦が広く、勝負の綾を変えられるのです。